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経理のアウトソーシングとは、自社内の経理を外部の代行業者に委託することです。
そもそもアウトソーシングとは、自社の業務を外部に委託することを意味します。専門性の高い特別な業務から企業ごとの差が小さいバックオフィスまで、さまざまな分野でアウトソーシングがみられます。
他者に業務を任せる点では人材派遣と似ていますが、両者は異なる仕組みです。人材派遣は外部から自社に人材が派遣され、指示出しや業務管理などは自社で行います。一方でアウトソーシングは該当の業務を外部に完全に委託するものであり、人材からシステムまで、業務に必要なリソースはすべて外部のものを利用します。
経理はどの企業でも必要な業務ですが、売上には直結しないバックオフィス業務です。人材不足の会社にとってはリソースを割くのが難しい部分です。そのため近年、経理のアウトソーシングを実施する企業が増えています。
経理のアウトソーシングを依頼する主なメリットは以下の5点です。
・人手不足の解消につながる
・属人化を避けられる
・コア業務に集中できるようになる
・不正防止の効果も得られる
・人件費の削減が可能
それぞれ詳しく解説します。
経理のアウトソーシングは、人手不足の解消につながる手段です。
限られた人数で事業を行う企業では、コア業務以外の部分に人的リソースを割くのは容易ではありません。しかし経理は直接的な利益につながらないとはいえ、すべての企業に必要な業務です。コア業務のリソースを削って経理業務に当てることに困難を感じている企業も多いでしょう。
経理をアウトソーシングすれば、自社内の人的リソースを経理に割く必要がなくなり、限られた人材で業務を回していけるようになります。
人手不足を解消したい企業にとって、経理のアウトソーシングは非常に効果的な方法です。
経理のアウトソーシングによって、属人化を避けられるようになります。
経理は担当者のみが内容を把握している、いわゆる属人化が起こりやすい業務です。経理の属人化が起きている状態では、担当者一人に大きな負担がかかるうえ、退職したときのリスクや損失が大きくなってしまいます。とはいえコア業務やリソースとの兼ね合いから、担当者以外が十分に経理業務を把握するのは難しいというのが現実です。
経理のアウトソーシングを行えば、自社の経理業務を外部のプロに実施・管理してもらえます。自社内の一部の社員に負担がかかりすぎる心配がありません。
経理業務を実施するための社内体制の整備や属人化の解消が難しいと考えられる場合、無理せずアウトソーシングをするのがおすすめです。
コア業務に集中できるようになる点も、経理をアウトソーシングする大きなメリットです。
人手不足の解消につながるの項でも触れましたが、経理は直接利益にはつながらない業務です。売上や利益を直接左右するコア業務に対して、バックオフィス業務である経理は後回しになりがちです。しかしコア業務に集中したいときでも、経理業務にリソースを割かなければならない状況もしばしば起こり得ます。
経理をアウトソーシングすれば、自社内で経理業務を行う必要がなくなります。自社のリソースをコア業務に集中させることができるため、生産性の向上や売上アップなどが期待できます。
経理のアウトソーシングは、不正防止にも効果的な方法です。
経理は会社の会計取引の記録やお金の管理などを行います。仮に経理担当者が意図的に実態とは異なる会計取引を記録した場合、本来あるお金と記録上のお金にズレが生じます。経理は属人化しやすく他者がチェックしにくいため、記録が正しいと判断され、ズレを把握しているのは経理担当者のみという事態も起こり得るのです。
不正行為の例として、以下のケースが挙げられます。
・架空請求、中抜き
・経費の水増しによる脱税行為
会社のお金と近しい場所にいて管理・記録を任されている以上、不正のリスクが存在します。
アウトソーシングによって経理を外部に委託すれば、自社の人間による意図的な操作や不正のリスクを抑えることができます。不正が起こりやすい業務だからこそ、あえて外部に依頼するのも有効です。
経理業務をアウトソーシングすれば、人件費の削減が可能です。
経理担当者を新規採用によって確保する場合、さまざまな費用がかかります。採用だけでも求人発行・面接・事務手続きなど、合計で少なくとも数十万はかかります。
人材育成にかかるコストも小さくありません。教育期間中も給与の支払いが必要なうえ、研修費やシステム導入・労働環境の整備など、新入社員が戦力になるまでには多くのコストが必要です。もちろん戦力になったあとも、毎月の給与や社会保険料などの人件費は発生し続けます。
アウトソーシングであれば習熟した即戦力の人材を利用できます。そのため新規採用のようなコストはかかりません。
アウトソーシングでは業務委託費といったコストがかかりますが、自社で雇用する費用に比べれば割安ですむため、人件費を抑えることができます。
経理のアウトソーシングが有するのはメリットだけではありません。以下のようにデメリットも存在します。
・自社にノウハウが溜まらない
・経営数字の把握にタイムラグが生じる
・情報の外部流出リスクがゼロではない
デメリットについてそれぞれ詳しく解説します。
経理に限らず、アウトソーシングは自社にノウハウが溜まりにくい点がデメリットのひとつです。
アウトソーシングでは外部のプロが業務を行います。プロの業務を確認しやすい・フィードバックを受けやすい環境は、一見するとノウハウが溜まりやすく感じるかもしれません。
しかし代行業者に丸投げで任せきりという状態では、自社は受け身の姿勢となります。アウトソーシングではプロに依頼できるという安心感から、依頼した業務については以降丸投げという企業が珍しくありません。
残念ながら、このような受け身の状態で自然にノウハウが溜まることはありません。経理をアウトソーシングした結果、自社の経理について自社の人間がほとんどなにも把握していないというケースは珍しくありません。
自社内部にノウハウを溜めるためには、代行業者による業務内容を確認する、疑問点を放置せず質問するなど、ノウハウを得るための主体的な行動が必要です。
経営数字の把握にタイムラグが生じる点も、経理のアウトソーシングによるデメリットといえます。
サービスや会社にもよりますが、経理のアウトソーシングでは、1ヶ月〜といったある程度の期間の資料をまとめて提出するケースが多いです。そのため会計取引が発生してから帳簿や財務諸表に反映されるまで、最短でも1ヶ月以上はかかります。
提出した資料に不足があったり、特記事項の伝え漏れがあったなどの場合、正しい記録ができるまでさらに時間がかかります。仕様の変更や突発的な事象などが起きた際のやり取りにも時間がかかりがちです。
このように経理のアウトソーシングでは、どうしてもタイムラグが生じてしまいます。
情報の外部流出リスクについても、経理のアウトソーシングで注意したいデメリットです。
経理のアウトソーシングでは、自社のお金や会計取引に関する資料を外部に渡すことになります。なかには新規事業や大きな取引など、重要な内容のものもあるでしょう。外部に漏らしたくない情報であっても、経理業務に必要な資料であれば渡す必要があります。
依頼先の代行業者が意図的に情報を漏らすことはあってはならないことですが、外部流出のリスクがゼロとは言い切れません。また、資料の送付先を誤ってしまう・アップロード先を第三者にも閲覧可能な状態にしてしまう、あるいは経費資料と一緒に社外秘の資料を送ってしまうなど、ヒューマンエラーによる情報漏洩も有り得ます。
外部に資料を送付する以上、情報の外部流出リスクに注意が必要です。
経理のアウトソーシングサービスを利用する際のポイントとして、以下の4点が挙げられます。
・依頼する目的や業務の範囲を明確にする
・セキュリティ体制を整える
・完全に任せきりにしない・当事者意識を持つ
・実績や専門性の高さなどを確認する
それぞれ詳しく解説します。
経理をアウトソーシングする際は、依頼する目的や業務の範囲を明確にすることが大切です。
一言で経理業務といってもさまざまな仕事内容があり、代行業者に依頼する範囲を決める必要があります。依頼する内容が多い・業務時間が長いほど、費用も高くなる傾向です。
依頼する目的が曖昧なままでは、自社で対応できる範囲まで依頼してしまい、必要以上にコストをかけてしまう恐れがあります。また代行業者の対応範囲を確認せずに契約した結果、自社にとって本当に依頼したい業務が対象外というケースも起こり得ます。
経理のアウトソーシングサービスを上手く活用するためには、なぜサービスを利用するのか・具体的に何を依頼したいのかを明確化することが必要です。
セキュリティ体制の整備も、経理のアウトソーシングを行う際に大切な要素です。
まず、セキュリティ面で信頼できる業者を選びましょう。信頼できるかどうか外部からの判断は難しい部分がありますが、最低限以下の2点を押さえることをおすすめします。
・サービスの公式サイトにおいてセキュリティ対策に関する説明が記載されている
・豊富な実績を有する、もしくは長く続いているサービスを選ぶ
(大きなトラブルなくサービスを続けてきたと信頼できるため)
また自社内においても、セキュリティ面の強化が必要です。最新のウイルスバスターの導入やパスワードの設定などを行い、第三者に情報を見られてしまうリスクを抑えましょう。代行業者に送付する資料のリストの作成・資料送付の際は別の社員によるダブルチェックを実施するなどの方法も効果的です。
安心・安全にアウトソーシングサービスを利用するため、万全のセキュリティ対策を行う必要があります。
アウトソーシングとはいえ、完全に任せきりという意識ではいけません。
代行業者に丸投げしてしまうと、自社内に経理業務のノウハウが溜まりません。当事者意識が薄れてしまい、自社の経理なのに、自社の誰も内容を認識していないという状況が起こり得ます。
またプロによる業務とはいえ、誤りがゼロとは限りません。資料の漏れや伝達ミスにより、反映するべき会計取引が記録されないケースもあります。アウトソーシングなら安心と丸投げし業務内容の確認を怠ると、ミス・漏れに気付くのがかなり遅れてしまうリスクが高くなります。
大まかな業務を任せるとしても、その後の確認や疑問点の質問などをスピーディーに実施するよう意識しましょう。
質の高いアウトソーシングサービスを利用できるよう、代行業者の実績や専門性の高さを確認することも大切です。
豊富な実績を有する業者は、その分ノウハウが蓄積されていると考えられます。ほかの企業から信頼され任されてきた証でもあるため、サービスの質についても信頼できるでしょう。
専門性の高さについても大切です。簡単な会計入力だけでなく専門性が求められる業務も対応できる業者に依頼すれば、経理業務全般を安心して依頼できます。
なお建設業界や医療系など、業界によっては独自の経理処理が必要なケースもあります。そのため、自社の業界に関する知識や実績が豊富な業者に依頼するのが理想です。
Webサイトに実績が公開されていれば確認し、自社に合いそうなサービスであるかイメージしましょう。実際に利用した人による感想や口コミも情報収集に役立ちます。
2021年生まれ。 BPOや業務効率化など企業成長のためになることがすき。 特にスタートアップやベンチャーなど新しいことに挑戦している人たちを応援するのが生きがい。 知りたい情報のリクエストも受け付けてます!
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