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経理でよくあるミスとは?ミス防止のために押さえたいポイントも解説

経理は業界・業種を問わず、どの企業でも必要な職種のひとつです。
お金に関する仕事であり、スピード感と正確性の両方が求められます。

経理に限らず、仕事ではミスをゼロにできるのが理想ですが、完全に防ぐことは非常に困難です。
しかしよくあるミスの内容や対策を把握しておくことで、大幅にミスを減らすことができます。

本記事では経理でよくあるミスの例や、ミスを防止する方法について解説します。

目次

経理でよくあるミス

経理でよくあるミスとして、今回取り上げるのは以下の5つです。

・処理の漏れまたは二重計上
・会計入力時の誤り
・経過勘定に関するミス
・書類の紛失・送付漏れ
・支払いに関するミス

それぞれのミスについて具体的に解説します。

処理の漏れまたは二重計上

処理の漏れ、あるいは逆の二重計上は、日次業務の中でも特に発生しやすいミスです。

経理は領収書などの会計資料を確認し、取引内容を会計ソフトなどのツールを使って記録します。(この作業を「記帳」といいます。)
しかし資料の存在に気づかない、あるいは作業を失念するなどによって、処理漏れが起きてしまうケースが少なくありません。
逆に、同じ取引を表す複数の資料をそれぞれ別の取引と勘違いして入力し、結果として二重計上が発生するケースもあります。

漏れや二重計上があると、財務諸表において実態を正しく表示できません。金額が大きい場合、税額に影響を与える可能性もあります。
経理は膨大な会計取引を処理するため、発生率が高いミスと言えます。

会計入力時の誤り

会計入力時の誤りも、経理で多く発生します。
具体的な例は以下のとおりです。

・勘定科目の選択誤り
・金額の打ち間違い
・消費税区分の誤り
・摘要欄への転記漏れ

勘定科目は、会計取引の内容に合わせて適切なものを選択する必要があります。科目を誤ってしまうと取引実態の正確な記録になりません。
しかし会計知識の不足や単純なヒューマンエラーなどにより、勘定科目を誤って選択・設定してしまうケースが多いです。

消費税区分の誤りも多くみられます。
たとえば住民票や印鑑証明などの発行手数料は非課税ですが、誤って課税取引として登録してしまうなどの誤りが挙げられます。
また、現在は店内飲食とテイクアウトで税率が異なるため、軽減税率の設定を忘れてしまうケースも多いです。

会計入力は経理の日次業務といえますが、その際に起こりやすいミスは多数あります。

経過勘定に関するミス

経過勘定とは取引が発生した時期とお金が動く時期がズレる場合に利用する勘定科目です。
サービス自体は当期に受けたものの、支払いは来期になる場合が例として挙げられます。

経過勘定に該当する具体的な科目は以下のとおりです。

・前払費用:対価は支払済で、サービス・商品の受け取りが未済の場合に使う
・前受収益:対価は受領済で、サービス・商品の提供が未済の場合に使う
・未払費用:対価は未払いで、サービス・商品を受取済の場合に使う
・未収収益:対価は未収で、サービス・商品を提供済の場合に使う

財政状態や経営成績を適切に表すため、必要に応じて経過勘定を活用します。
しかし経過勘定に対する認識不足や単純な対応漏れなどにより、ミスが起こりやすいです。

書類の紛失・送付漏れ

これまで紹介したのは、会計取引を記録する場面でのミスでした。
しかしそれ以外の業務においても、よくあるミスは存在します。
そのひとつとして、書類の紛失・送付漏れが挙げられます。

近年はデータで確認できる会計資料が増えていますが、まだまだ紙の領収書・請求書も多数あります。
このような紙資料は、他の書類と混ざってしまう・置いた場所を忘れてしまうなどのミスが起こりやすいです。
領収書は再発行できないケースが多いため、紛失すると経費として計上できる額が小さくなってしまいます。

書類送付漏れのよくある例として、自社で発行する請求書が挙げられます。
請求書の送付を手動で行う場合、どうしても漏れが発生しやすいです。
書類の送付漏れや遅れは、正しい会計処理ができなくなるだけでなく、先方とのトラブルに発展する恐れもあります。

支払いに関するミス

経理で欠かせない業務のひとつに、支払い業務が挙げられます。
支払いに関する主なミスの例は以下のとおりです。

・支払い遅れ・失念
・金額の誤り
・納付書など支払いに必要な書類の紛失

支払いはお金を直接扱うため、ミスがないよう特に注意する業務です。
しかし年間通して完璧に対応できる企業は稀で、多くの場合何らかのミスが発生しています。

経理でよくあるミスを防止する方法

経理でよくあるミスのほとんどは、注意力の低下や見落としが原因の、いわゆるケアレスミスです。
ミスを完全にゼロにすることは難しいですが、ミス防止のために簡単に実施できる対策が多く存在します。

経理でよくあるミスを防止する方法として今回紹介するのは、以下3点です。

・見直し・ダブルチェックを行う
・タスク管理を徹底する
・ミスをしにくい体制にする

それぞれの方法について解説します。

見直し・ダブルチェックを行う

見直し・ダブルチェックは、経理でよくあるミスの防止に効果的です。

ケアレスミスは、ちゃんと確認すれば気付けるものがほとんどです。些細なものだからこそ、油断しているとミスしてしまう恐れが大きくなるともいえます。
見直し・ダブルチェックは、簡単にできる対策ではありますが、経理でよくあるミス防止に非常に有効です。

会計入力や経理処理を一通り終えたら、見直しの時間を確保しましょう。時間がかかると感じるかもしれませんが、ミスを抑えられるためトータルでのコストが小さくなります。
支払いなど重要性の高い業務については、別の経理担当者によるダブルチェックを徹底する仕組みを作ると安心です。

タスク管理を徹底する

タスク管理の徹底も、経理でよくあるミスを防ぐうえで役立ちます。

書類の送付漏れや支払い遅れなどのミスは、作業を忘れていたことが原因というケースが多いです。
いわゆるうっかりで忘れてしまうだけでなく、業務量が多いため把握しきれていないために忘れてしまうことも少なくありません。
いずれにせよ、すべてを自身の記憶のみに頼るのは危険性が高いです。

支払い業務などの必要性が明確になれば、すぐにタスクとして設定しましょう。
タスク内容や期日などを記載し、ツールを活用するなどわかりやすい方法で管理しましょう。タスクが管理できていれば、業務が漏れてしまうリスクを最小限に抑えられます。
結果として、経理のミス削減につながります。

ミスをしにくい体制にする

経理によくあるミスの防止には、そもそもミスをしにくい体制にするのが効果的です。

ミスが多発する原因が、組織のルールや仕事の進め方など、環境に存在するケースは少なくありません。
たとえば一人が抱える仕事が多すぎる場合、見直しなどに時間を割く余裕がないでしょう。
ルールが不明瞭で仕事を自己流で進める体制も、ミスが起こりやすくなります。

このようにミスを防ぐためには、ミスが起こりにくい体制作りが必要不可欠です。
具体的な施策例を紹介します。

・企業・部署としての統一ルール作成
・セルフレビューに使うチェックシートの用意
・負担削減のため人員補充・業務効率化に効果的なツールの導入
・複雑な作業の簡略化
・不要な作業の廃止

体制を整えるには時間と労力がかかるため、なかなか始めるのが難しいかもしれません。
しかし長い目で考えると、結果として得になる可能性が高いため、早めに実施するのが理想です。

まとめ

経理はお金と関係性が深く、非常に重要な役割を担います。
そのため些細なミスでも企業に与える影響が大きく、思わぬトラブルに発展する恐れもあります。

しかし経理でよくあるミスの多くは、ちょっとした工夫で対策が可能です。
ミスをゼロにするのは難しいですが、対策を行うことでミスの発生を大きく抑えることができます。

経理でよくあるミスを把握し、そのうえでミス防止に効果的な対策を実施しましょう。

この記事の監修者

筧 智家至

グランサーズ株式会社 代表取締役CEO
公認会計士・税理士

1980年愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒。
2004年に監査法人トーマツ(現:有限責任監査法人トーマツ)に入社。 2012年に税理士法人グランサーズの前身となる筧公認会計士・税理士事務所を設立。 2013年にグランサーズ株式会社の前身となるMeguro Growth Consulting Partners株式会社を設立。
スタートアップからIPO(上場)準備会社まで、あらゆる成長企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティング、経理を中心としたバックオフィス支援サービスにより中小企業経営者の信頼と定評を得ている。
また、経理未経験者を積極的に採用し、学習と実務を同時に提供できる環境づくりに注力。経理未経験者を育て上げ、東証プライム(東証一部上場)企業へ転職させた実績多数。これまでに延べ100名以上の経理人材を育てている。

スタディジョブ 運営部

2021年生まれ。 BPOや業務効率化など企業成長のためになることがすき。 特にスタートアップやベンチャーなど新しいことに挑戦している人たちを応援するのが生きがい。 知りたい情報のリクエストも受け付けてます!

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